1. 適用範囲
この規格は熱間圧延または鍛造により製造された炭素工具鋼(以下鋼材という)について規定する。
2. 種類
鋼材は7種類とし、その記号は、 [表1]による。
*[表1]
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種 類 |
記 号 |
1種
2種
3種
4種
5種
6種
7種 |
STC 1
STC 2
STC 3
STC 4
STC 5
STC 6
STC 7 |
3. 製造方法
- 鋼材はキルド鋼から製造する。
- 鋼材は特に指定しない限り、鍛錬成形比4S以上で圧延または鍛造しなければならない。
ただし、鋼材寸法の関係で4S未満となる場合には、アップセッティング・ポージング(upsetting forging) によって補うことができる。
- 鋼材は特に指定しない限り焼ナマシをしなければならない。 ただし、鋼板や強大は特に指定がない限り、そのままにする。
4.化学成分
鋼材の化学成分は溶綱分析値により、その値は、 [表2]による。
*[表2]
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記号 |
化 学 成 分 % |
参考 用途 |
C |
Si |
Mn |
P |
S |
STC1 |
1.30~1.50 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
やすり |
STC2 |
1.10~1.30 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
ドリル、鉄工用やすり、 小型パンチ、 剃刀、ぜんまい、鋸 |
STC3 |
1.00~1.10 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
ねじ加工ダイス、鋸、
プレス型枠、ゲージ、ぜんまい、鑿、治工具 |
STC4 |
0.90~1.00 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
ぜんまい、木工用ドリル、斧、鑿、 メリヤス針、剃刀、木工用の帯のこ、ペン先、
プレスの型枠、ゲージ |
STC5 |
0.80~0.90 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
刻印、プレス刑具、 ぜんまい、
帯鋸、治工具、 ソー、
ペン先、 鉄筆版やすり、ゲージなど |
STC6 |
0.70~0.80 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
刻印、スナップ、ソー、 ぜんまい、プレスの型枠、鉄筆版やすりなど |
STC7 |
0.60~0.70 |
0.35 以下 |
0.50 以下 |
0.030 以下 |
0.030 以下 |
刻印、スナップ、 プレスの型枠、
ナイフなど |
備考 焼ナマシをしていない鋼材については、
表3の焼ナマシをした後、 クェンティン・テンパーリングを行う。 |
5. 焼ナマシ硬度
鋼材の焼ナマシ硬度表は、 表 3 による。
ただし、ブリネル硬度の測定が困難な鋼材についてはロクウェルB硬度またはビッカース硬度よる。
この場合、硬度の数値は注文者と製造者との協定による。
*[表3]
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種類の記号 |
焼ナマシ温度C |
焼ナマシ硬度HB |
STC 1
STC 2
STC 3
STC 4
STC 5
STC 6
STC 7 |
750~780 徐冷
750~780 徐冷
750~780 徐冷
740~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷
730~760 徐冷 |
217 以下
212 以下
212 以下
207 以下
207 以下
201 以下
201 以下 |
6.クェンティン・テンパリング硬度 クェンティン・テンパリング硬度鋼材を代表する試験片に表4に表示した温度範囲内の 適当な温度を選定して熱処理をした場合のクェンティン・テンパリング硬度は [表4] による。
*[表4]試験片のクェンティン・テンパーリング硬度
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記号 |
熱処理°C |
クェンティン・
テンパリング硬度HRC |
クェンティン |
テンパリング |
STC 1
STC 2
STC 3
STC 4
STC 5
STC 6
STC 7 |
760~820 水冷
760~820 水冷
760~820 水冷
760~820 水冷
760~820 水冷
760~820 水冷
760~820 水冷
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150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
150~200 空冷
|
63 以上
63 以上
63 以上
61 以上
59 以上
57 以上
56 以上 |
備考: 焼ナマシをしていない鋼材については、表3の
焼ナマシをした後、 クェンティン・テンパーリングを行う。 |
7.外観及び模様、寸法及びその許容差
熱間圧延丸鋼
- 熱間圧延円形鋼の外見は仕上げが良好で、使用上有害な欠陥があってはならない。
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